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首里散歩 Vol.445 糸満おじいと海鮮丼 

港の近くの海鮮のお店はだいたいおいしい。

先日、ずっと目を付けていた絶対においしいお店に友だちと行ってきた。

糸満漁港に隣接する公設市場「いとま~る」の中にあるお店である。

こんな海鮮丼をたしか数年前に金沢で食べた気がするが、その時は3000円くらいだった。
だけどこちらは、たしか1000円くらい。(このご時世に….!)

豪華な見た目にテンションが上がり、そのまま施設の外にあるテラス席のような場所で食べることにした。

さっそく箸を割り、醤油とわさびを別皿で混ぜ、海鮮丼にかける。そしてねぎとろとごはんを箸にがっと乗せ、食べようとした。

……その時。

▲もりっもりの海鮮丼

ヤツが現れた。

ハエである。

一度は無視した。
けれどおいしい海鮮丼をひとくちずつ頬張るたびに、絶妙なラインを「ブン!」と横切る
そして時々、どんぶりに着地しようとする。

ま じ で や め て。

鳥肌すぎる。
おしゃべりが楽しく、ごはんがおいしい最高のひとときだったので、合間を行き来するハエの存在が我慢ならない。

室内に移動するべき?という思いが頭をかすめた。
…と、その時。

とつぜん見知らぬおじいが現れ、ハエ叩きを振り回しはじめた!

※写真はイメージです(AI)

わたしと友だちはビックリしておじいを眺める。
おじいは軽やかな手つきでハエ叩きを振り回す。
一匹も仕留められはしなかったが、おじいの気迫に負けたのか、ハエはどこかに飛び去っていった。

するとおじいは、得意そうに笑い、一言
「こいつら美人が好きなもんで」
と言った。小粋である。

その後ふつうに隣に座り、いろんな話をしてくれた。
8割は自慢話だった。なにかのコミュニティの名刺をもらった。

いろいろ話をした後、食べ終わって席を立つと、別のおばあから
「あのおじいに話しかけられてただろ。あの人が言うこと、ほとんど嘘だからね」
と苦い顔で言われた。

もはや真実なんてどうでもよかった。
那覇にはない糸満コミュニティにぬるっと入れてもらえた感がうれしくて、おじいのこともおばあのことも好きになった。

しかし残念なことに、わたしはこういう時、スルッと馴染むことができない。
こういう空気感はとても好きなのに、この日も苦笑いで終えてしまった。
くやしい。

ま、おいしかったからいっか。
きっとこういうことは、またあるだろう。
糸満はいつもわたしにとって、そういう場所なのである。

またきます。

ライター
三好優実