Blog

首里散歩 Vol.466 アタッカー・セミ

「セミ採りに行って来ていい〜?」

次男が言った。

ベランダの窓を開けると

シャンシャンシャンー!
シャワシャワシャワシャワーーー!

セミの鳴き声が一斉に室内へとおしよせた。

(いつの間にそんな季節になっていたのか)

水分を含ませない筆で
まるで単色で描いたような
濃い空と雲が広がる中、

セミたちが忙しそうに起きている。

「アミとカゴの場所わかる?暑いから水筒持ってよーー!」

と、返事を待たぬまま、今にも外へと
飛び出していきそうな息子を私の声が追いかけた。

セミ…

思い出すなぁ…

それは沖縄での出来事

当時、私は沖縄では珍しく(ご近所さん統計による)
ママチャリ(子供乗せタイプの自転車)を愛用していた。

子供たちの幼稚園への送り迎えも、自転車を走らせていたのだが、

ある日、木々が連なる幼稚園までの坂道を勢いをつけて登っていると、

「バチンッ!!」

頭に衝撃が走った。

「痛ーーっ!」 

そう思うわずかの間に
またもや
「バチンッ!」「バチンッ!」

何かが体当たりしてくる。

(えっ!?何!?何ーっ!?)

意味の分からない事態に

驚いて自転車を止めた。

(!?えっ!?何何何ーーー!?)

と辺りを見渡すと、
去っていくのは「セミ」ではないか!

(えっ!?セミ!?なんでーー!?)

生まれてこのかた、セミに体当たりされることなんて1度もなかったので、あまりの衝撃さに、
(沖縄ではセミが体当たりしてくる)
のだと軽くカルチャーショックを覚えた。

なんとも新鮮な感覚だったので、
お友達のお母さんにすぐさま伝えた。

「あそこの道、セミぶつかってきますよね!めっちゃ怖くないですか?!」

人は驚くと、共感を求めたくなるもので、返事は「そうそう!わかるー!」
が、かえってくることを期待した。

すると、

「…えっ?セミ…?あたってきた?あたったことないー!」

という思いがけない返事が返ってきたではないか!

そんなことあるだろうか!?すぐさま数人のお母さんにインタビューをしてみたが、誰もあたったことがなかった。

(なぜだ、なぜ私だけ!?何か悪いことでもしましたか!?)

疑問に思うと調べずにはいられない。

家に帰り手っ取り早く携帯電話に
 
「セミ ぶつかってきた 原因」
等と、入力し検索をした。

すると、私だけに体当たりしてくる原因が浮き彫りになっていった。

まず、セミは視力が弱く、黒くて大きなものを「木」と認識する習性があるそうで
帽子や頭を、見間違い、「止まれる木がある」と勘違いして自ら飛び込んでくることがあるそうだ。

なるほど〜
しかし、それは皆にも当てはまるのでは。。

さらに検索すると、
セミのオスは、興奮状態で「動くメス」を目で探しているが、視力が低いため、自転車に乗ったスピードが、自分たちと同じくらい(時速20km前後)の速度で通り過ぎるのを見て、メスがいる!と勘違いして、体当たりしてしまうことがあるそうだ。

これだ!私だけに体当たりしてくる要因は大いにあったのだ!

なるほど〜なるほど〜!

それを知ってからは、幼稚園までのセミロードは

・なるべくゆっくり自転車を走らせる
・頭をなるべく低くする
・いつ飛んで来ても、やむなし!私、モテモテやん〜!♪

を心がけ、ずいぶん気持ち的にも回避できたのだった。

2年〜5年と長らく土の中で生き、地上での必死な姿、メスへのアタックだと思うとなんとも尊く感じた。

(息子よ、セミ採りほどほどにね…)

と、心うらはらに見送り。

シャンシャン シャワシャワ
しばらくの間
セミたちのエネルギーが聴こえるだろう

パッチンくるり