Blog

首里散歩 Vol.360 緑と静けさの沖縄

始まりから「えぇ…」と声が漏れた。
入口からすぐに坂…というより崖に近い場所を、ロープを使って登っていく。
沖縄が暖かくなり始めた3月初旬、訪れたのは「石川岳」。

標高204mなんて嘘では?と思うほどの傾斜を進んでいく。
数字だけ見ると穏やかに聞こえるかもしれないが、実際に登ってみると想像以上に本格的だった。

石川岳には3つの登山コースがある。
私が登ったのは中級者向けのBコース。

しばらく進むと「息切れの坂」という看板が。
その名の通り、既に息が切れている。

3つのコース全てが通る唯一のポイントのようで、この坂を境にAコースは別の道へ。

「BコースとCコースはこんな坂がまだ続くのか…」と思うと自分の体力が心配になるが、意外と楽しみの方が勝っていた。

綺麗な空気に、雲一つない空。
高い木々に囲まれた空間は冒険心をくすぐる。

進むたび、空気が変わっていく。
自然の静けさ。
見える景色が変わって、木々の間から海が見える。
入口ではワイワイとはしゃぎながら登っていた声も、徐々に「ここ危ないよー!」「後ろの方大丈夫?」と気遣う声に。

私の少し前を歩くグループから「わっ!」と声があがる。
楽しみにしながら追いつくと、少し開けた場所から先程の海が一望できた。

遠くキラキラ光る水平線。
しばらく立ち止まって深呼吸をした。
なんだか元気を取り戻した気分で、足を進める。
ロープを使う場所もまだまだ多いが、楽しんで登っていく。

そして訪れた山頂は、青と緑に囲まれた場所。
涼しい風と輝く太陽に出迎えられて、浄化されたような、穏やかな時間だった。

下山道は更に道が険しくなる。
背の高い木が道を覆い、空が狭くなる。
足元はゴツゴツとむき出しの根が張り巡らされていて、気を抜くとすぐにつまずきそうになる。
さながらジャングルのようだ。

そんな中でも、木漏れ日の漏れる場所はつい見上げてしまう。

激しい道に周りの声も少なくなるが、自分の呼吸音だけが耳に届く時間が心地よく感じられた。

「沖縄で登山してきた!」と言うと、ほとんどの人から「沖縄って山あるの?」と返ってくる。
綺麗な海も勿論、沖縄の魅力。

でも、私は”緑と静けさの沖縄”も知っている。
私にとって人生2回目の沖縄は、自然の中で自分と向き合えた大切な時間だった。

首里石鹸 星見せいか