月桃茶の色と聞いて思い浮かぶのは“透明のイエロー”だったけれど‥
沖縄旅行で渡嘉敷島に渡り、赤い月桃茶を作りを学んだ。

月桃茶で使う葉は、一年中生えている多年草。花は4月から6月に白い花蕾をふくらませる。沖縄では至るところに生えている月桃の葉。
今回、赤い月桃茶作りを教えてくれた渡嘉敷島のレジェンド“肇(はじめ)ちゃん”にお会いした。

肇ちゃんはこの島のアクティビティで葉っぱを使ってお茶やムーチーの作り方などを教えてくれる。
『まずは月桃の葉を摘み取りに行きましょう!』
軒先や通り沿いに出て「この葉っぱが良いね」と青々とした葉を選んで摘み始め、隣の家の軒先の葉まで勝手にチョンと切り始めた。
『え?!隣の家の‥大丈夫なんですか?』
言ってはみたもののよく考えたらさっきから島ですれ違う地元の人々が皆、肇ちゃんに声をかけてくる。
島全体の集落みんなが知り合いだと言う。
そしてその島で生まれ育ち、島を知り尽くすレジェンドなんだから大丈夫じゃない訳がない!
言ったあとに質問を間違えた‥と思った。

『月桃の葉を選ぶ時は緑色が濃ければ濃いほどよい、赤いポリフェノール成分が多く抽出されますよ。』
葉っぱを丁寧に洗ってからくるくるっと丸め、ネギのように刻んで大きめの紙のティーパックに1ℓに20グラムほど入れたらあとは煮出しながら待つのみ。
20グラムと言っても『こんなにたくさん?!!』と思うほどの量になる。
時間をかければ4時間ほどでピンク色から綺麗な赤い色にに変わっていく。
庭先のテーブルにコンロがありそのまま抽出、煮出してる間は肇ちゃんと、ゆんたくタイム!
(※「ゆんたく」は沖縄の方言でおしゃべりのこと。)
『ゆんたくって言葉もなんかいいですね~』
太陽のほうに真っ直ぐに顔を向け元気に咲くハイビスカスを眺めながら、お茶と一緒にのんびりおしゃべりの時間。

聞くと、肇ちゃんは一度は島を出て就職したけれど、島の良さに気付き再び戻ってきたらしい。
渡嘉敷島と肇ちゃんの辿ってきた歴を聞きながら、ゆったりした時間の流れを楽しんだ。
その間にも通りすがりの近所の人が肇ちゃんに声をかけてくる。
そうこうしているうちに、月桃茶の色がピンク色に染まっていき、さっきの淹れたてのお茶を飲み比べてみると…

時間を置いた赤い色のほうが口当たりがとてもまろやかで驚いた。
香りは若くさわやか、スッと入っていく飲みやすさで、抽出に時間も葉っぱもたくさん必要とするけれど、その過程が無いと味わえない味だとわかった。
『この乾燥してない葉っぱって売ってるとしたらどこかで注文できますかね?』
『売ってるもなにもそこいら辺に生えてるからね』
笑いながら言った。
そもそも月桃を買うという感覚ではないので、またしても質問を間違えてしまった
そして『隣の家のも切ってお土産にしていいよ』と。
『え、隣の家のは…』と躊躇してる間に、さっと切ってきて渡してくれた
赤い月桃茶のように丁寧に、そしてゆっくりと自然と共に暮らす肇ちゃん、間接的に葉っぱをいただいた隣の家の人もありがとうございました!
ライター
まちこ