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首里散歩 Vol.297 重ねてゆく 

全国的に不安定な気候が続いた今年の秋。日々、刻々と変化する空の表情に、何度となく心奪われている。

縁起の良さそうな、放射線状に光が広がっている放射状雲だったり、

惚けた表情の龍のように見える?龍神雲だったり。

ゴールデンアワーというのかな、真っ赤に染まった実家からの景色だったり。

そんな話を、こちらの、特にウチナンチュウの友達に、興奮気味に伝えると、「あぁ、そうねぇ」と忘れていた良さを思い出したような、少し拍子抜けするような反応が帰ってきて、テンションが高く沖縄での日常を喜んでいる私に、優しく微笑んでくる。

そんなやりとりの度に、幼い頃に、周りの人に、同じように対応してもらった記憶が蘇り、ノスタルジックな気持ちに包まれている。


先日、アリカワコウヘイ展に行ってきた。去年、友達に「ぜひ!」と誘われて、「ポップで可愛いマシューくん」くらいの認識で足を踏み入れたのだけど。アリカワさんの幸せな世界への追求の理由を知り、大きな衝撃を受け、作品の深みの余韻がずっと残っていた。

幼い頃、預けられていた沖縄で初めて知ったという、幸せの光景やディテールが散りばめられた、理想の庭のような空間と、目を輝かせて描かれているマシューくん。

今年も、なんだか自分を見るような、息子を見るような、不思議な気持ちになった。

アリカワさんと作品の関係と変化をまとめたマインドマップや、これまでの多方面に満たされた経験と時間が積み重なっていく多幸的な状態を、花びらで表現した作品など。

沖縄で出会う温かさと内なる変化を、作品に重ねて感じ合う、豊かな時間となった。

沖縄に想いを寄せる友と、今年もこの経験や時間を重ねてゆく。
そんな私の沖縄時間は、これからも続いていく。

ライター
首里石鹸 白鳥恵子