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首里散歩 Vol.462 植えたくなるほど

実は沖縄に来るまで、バナナのことがうっすら嫌いだった。

嫌いになった原因は、昔流行ったバナナダイエットだ。
バナナダイエットとは「朝ごはんはバナナしか食べない」というもの。バナナなら何本食べてもよいとされるため、「それで痩せるなら最高!」とはじめたのだった。

食べ過ぎたのだと思う。
1日ひと房くらい食べた。

まったく痩せなかった上に、バナナに飽きた。
好きな歌をアラームに設定したら嫌いになってしまうように、わたしもバナナのことを薄っすら嫌いになってしまったのだ。

と、そんな理由でめっきりバナナを食べなくなっていたけれど、沖縄ではじめて島バナナを見たときはびっくりした。

かわいい。
あまりにかわいい。

小さいのにまるまるしてて、しかも紐でつるされている。

かわいい。
ほしい。さすがにこれは食べてみたい。

バナナに対して「食べたい」と思ったのは10年ぶりくらいである。

一口食べた瞬間、「かわいい味!」と思った。
そしておいしい。あまい。濃厚だけどフルーティーで、もっちりしている。

あの毎朝食べまくっていたバナナとはぜんぜん違う。
おいしい。おいしすぎる。

沖縄の気候がこんなバナナを生んだのか。
自然ってすごい。島バナナすごい。

わたしは一瞬で島バナナが大好きになってしまった。

それからというもの、ときどき島バナナを買うようになった。(食べ過ぎて嫌いになりたくないので、本当にときどき)

さらにプレゼント好きなわたしは、時々島バナナを人にプレゼントするようにもなった。

だけど島バナナのおいしさを説明するのはいつも難しい。
贈る相手には毎回、低レベルな語彙で「かわいくてくそうまい」と説明するが、その説明にはいつも不満だった。もっとこのおいしさが、インパクトごと伝わる言葉はないのだろうか。

そんなことを思いながら、地元の友だちに島バナナを送った。
いつもどおり「かわいくてくそうまい」と説明した気がする。

すると、届いた友だちから、ポポポポ、と連続でLINEが届いた。

「おいしい」
「おいしすぎる」
「バナナ植えようか家族に相談した」
「植えたい」
「植えようか」

笑ってしまった。
おいしいと言ってくれるだろうとは思っていたけど、まさか植えたくなるとは。

というか、これかも。
「かわいくてくそうまい」より「植えたい」かも。
果物の最大の褒め言葉、「植えたい」かも。

それからというもの、島バナナの魅力を聞かれたら「植えたくなるほど」と答えようと思っている。その機会はまだ一度も来ていない。

ライター
三好優実