月下美人――。
その花は、1年に1度、夜にだけ花を咲かせるといわれており、開花とともに甘い芳香を放ちます。その香りはどこか、大切な人を思い出すときのように、ふと心が温かくなる不思議な力を持っています。
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とある日、
「月下美人の香りの商品ある?」
そう尋ねながら入ってきたのは、優しい笑顔の女性のお客様でした。
ハンドクリームやマリンクレイ洗顔石鹸、ハンドウォッシュをご案内すると、迷いなくハンドクリームを手に取り、「ハンドクリームがいいさ〜」と嬉しそうに微笑んでくれました。


「月下美人の香り、お好きなんですか?」と尋ねると、
「内地にいる姪っ子に送ろうと思ってね。私たちの中で、月下美人はすごく思い出深いものだから」とのこと。
そこから語られたのは、まるで小さな物語のような思い出でした。
昔、ご自宅の庭に月下美人を植えていたこと。
夜にしか咲かないその花を見るため、姪御さんがよく泊まりに来ていたこと。
ふたりで夜更けにそっと庭へ出て、咲き始めた花の香りを胸いっぱいに吸い込み、そのまま幸せな気持ちで眠りについたこと。
「月下美人にはね、『ただ一度だけ会いたくて』っていう花言葉があるんだよ」

お客様が話してくれた思い出と花言葉に耳を傾けながら、私はふと胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じました。月下美人の香りが、大切な人との時間をそっと呼び起こす。その気持ちが、なんだかよく分かる気がしたのです。
実は私自身、一昨年の夏に曽祖父を病気で亡くしました。
成人式の振袖姿を楽しみにしてくれていたのに、結局見せることができなかったことが、今でも心のどこかに小さく残っています。だからこそ、花言葉に重ねた「あなたに会いたい」という思いを聞いて、“またいつか、おじいに会いたいな” ―そんな気持ちがふとよみがえったのです。
お客様は最後に「思い出の香り、花言葉の意味、伝わるかわからないけど喜んでくれるかな〜」と少し不安そうに笑っていましたが、その表情には、大切な人を想う優しさがたっぷり詰まっていました。
私は心から「きっと喜んでくれますよ」とお伝えし、改めて思いました。
私は、笑顔で明るく、お客様に親身に寄り添える、アドバイザーになりたい。
楽しくお話ししたり、香りや商品をご案内したりする時間が、「首里石鹸に来て良かった」と感じてもらえるひとときであってほしい。
月下美人の香りが誰かの思い出をそっと照らすように、私もお客様の心に小さな灯りをともせる存在でありたい。
そんなことを改めて強く思う出来事でした。

遠く離れた姪御さんのもとへ、思い出の香りと優しい気持ちが届きますように。

そしてこの記事を読んでくださっている皆さまにも、月下美人の花が咲く夜のように、静かであたたかな思い出と幸せにたくさん出会えるよう、願っています。
ご自身へのお買い物はもちろんですが、大切な人への贈り物を選ばれる際にも、ぜひ首里石鹸へお立ち寄り下さいませ。
素敵な贈り物になるよう、精一杯サポートさせていただきます。
首里石鹸 内間るな