与那国のじいちゃんばあちゃんへ
お元気ですか。私は元気です。

遠くに住む祖父母に時々ファックスを送っていた。
特にこの時期、クリスマスやお正月や、夏のお盆の時期は母から「今日はご飯終わったら書いてね」と促されて書いた。
今思うと白黒にしかならないファックスなのに、完璧主義な私はしっかり紙いっぱいに色々を使って書いた。
面倒くさがりな妹は描くのが早く文章も率直だった。まだ小さかった1番下の妹はおそらく絵を描いていた。
今はSNSですぐ簡単にテレビ電話ができるから、文章を考えて電話で「ファックス送るね!」と話して送るまでの時間差や手間の機微が懐かしく、そして有り難く感じる。
「ピーー♪この電話はファックスです。」と電話が唱えてファックスを少しずつはき出す。
じいちゃんばあちゃんはどんな顔して待っていたのだろう。

あるクリスマスの時期。
まるでサンタさんへの手紙のように一丁前な欲しいものリストをファックスした。
欲しい服があったから、絵を添えて細かく文章で書いて。
学校のオシャレ番長が着ていたTシャツ。(今ならおそらく写真やURLを貼り付けて済むのだろう。)
伝わっているのかいないのか分からない不安感と何が届くか分からないワクワクを感じていた。
沖縄からのサンタさんはイメージ通りのお洋服を運んでくれて、1番のお気に入りになった。
学期末には成績表を。
お盆の時期には家族旅行や夏休みの武勇伝を。
また将来の夢や沖縄に行ってしたい事なども描いていたかもしれない。

おばあちゃんの家には、今も当時のファックスがきちんとファイルされて残されているらしい。
ファックスのコピーインクは、今ではもう薄れて、読みづらくなっているのだろう。
それでも、あの頃の気持ちや時間は、私の記憶の中では、今も色濃く残っている。
首里石鹸 池田まお