沖縄は四季がないとよく言われます。
確かに、雪がしんしんと降り銀世界につつまれることもなければ、ひらひら桜吹雪の舞う中、入学式に向かうこともありません。また、色鮮やかに山々を彩る紅葉も見ることはできません。
しかし、ここ沖縄でも季節を感じさせてくれるものがあります。
梅雨の晴れ間に「ジー、ジー、ジー」とクサゼミが泣くと、「さあ、いよいよ今年も夏が来るぞ。」と嬉しくなり、「ワシワシワシワシ…」と朝から休まずクマゼミが鳴くと、夏真っ盛りの合図です。

うだるような夏の暑さが続く日、シャワーのように鳴き声がふり注がれます。そして、「ウーナ、ウナ、ウーナ・・・」とクロイワツクツクが鳴くと、終わる夏に感傷的になったりするのです。
沖縄には多くの種類のセミがいるため、夏の訪れと終わりを耳で感じることができます。

日中はまだまだ暑くても、幾分涼しくなった夜には、夕食後に夕涼みを楽しむ日が増えます。
そういう時、庭先にホタルを目にすることがあります。
沖縄には水生ではなく、畑や草むらに住むホタルがいるのです。ビール片手に光りながらふわふわ飛んでいるホタルを見失わないように目で追っていると、、チカ、チカ、チカチカ・・・。
不意を突いて芝生の中にもチカ、チカ、チカチカ・・・。
夜風と淡い光が、日中の暑さを忘れさせてくれます。

ホタルを追っているとふと夜空の星が目に飛び込んできます。澄み切った夜空にはもう秋の星座が瞬いていて、「まだ夏だと思っていたのに、季節が変わったんだなぁ。」と気づくのです。

雪景色や桜吹雪に紅葉といった四季折々の風景には、心に広がる彩りがあります。
もちろん!ここ沖縄にも。
いつもの風景の中に溶け込んでいる四季をさがしに出かけてみませんか?

ライター
大城くいじなう