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首里散歩 Vol.349 タイムスリップ

仕事の帰り道
緑まじり始めた桜の樹が、私に言った。

『少し ゆっくりしていきなー』

そう聞こえた。

ここ最近、名のない「せわしなさ」や、子供たちの卒業式や入学式、新年度と目まぐるしく過ごし、気づかぬ間に気をはっていたのだろう。

ちょうど少し立ち止まりたかった。

飲み物とパンをふらりと買って、お花見で賑わう広場から少し離れた桜の樹の下をかり腰かけた。

『あー、久しぶりやな、目的地でない場所にいるの』

淡いピンクに包まれながら、暖かな風がよこぎる。
周りの時間がゆったりと流れていくのを感じる。

この感じ

なんだか懐かしい。

「ゆったりとした時間」

沖縄で感じていた この感じ。
忘れかけていた感覚が蘇ってくる。

青い空 公園で 「あっ!魚だ!」と、娘が指さした先には今にも手が届きそうな白い雲。

ソフトクリームに、わたあめ、龍

いろいろな素敵なモノに似た雲をみつけては
ただただ、見あげた。

家路の小道からは、誰かの奏でる三線の音色。
そして子供たちの舞踊の稽古の気配。

日陰をつくる、大きな葉の樹も、「ゆったり」と潮風をかわしていた。

『そういえば、沖縄でみた桜は、青い空に ピンクがくっきりと 綺麗やったな。』
そんな思いにふけるうちに、心に絡まっていた何かが、スルスルとほどけていった。


小さな子が 無邪気に走る。

手をつなぎ寄り添うカップルがいる。

家族で集まり写真を撮っている。

私の知らない人たちの幸せそうな姿に、微笑ましくなっている自分がいた。


『ゆったりとした時間、心に余裕』

そうだ、最近これが足りなかったのだ。

花びら散り始めた桜の木の下。

思い出したよ。

ありがとうねー

あの日 あの時 沖縄タイム。

ライター
パッチンくるり