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首里散歩 Vol.316 我が家のムーチー(鬼餅)

沖縄の行事に「ムーチー(鬼餅)」というものがあります。
鬼がついていますが恐いものではありません。旧暦の12月8日に、餅粉をこね月桃の葉に包んで蒸したお餅を子どもの年齢の数だけ結んでさげ、健康を願うという行事です。
我が家でも毎年、手づくりで息子たちの健康を願うことにしています。
(その息子たちとは、四頭の犬なのですが・・・)

まず、ムーチーを作る際に欠かせない月桃の葉を準備します。一枚一枚丁寧に洗っていくのですが、ムーチーの頃にやってくる寒波“ムーチービーサ”で手がかじかんでしまいます。でもそこは息子たちのためと美味しいムーチーを食べたいがためにがんばって洗うのです。

次に、耳たぶくらいの柔らかさにこねた餅粉を月桃の葉に包んでいきます。
我が家のムーチーの大きさは独特です。普通の四分の一サイズにしています。普通サイズで作ると人間が年を重ねる前に体重を重ねてしまうことになってしまうからです。

もちろん、息子たち(犬)はお餅を食べることはできないので、人間が食べるお餅と犬が食べることができる「かぼちゃと葛」をまぜたものとで作り分けています(およそ9:1の割合で…もちろん9が人間用)。

そして、いよいよ蒸しに入ります。蒸し器の蒸気と一緒に月桃の葉の香りが家中に広がります。
・・・
「あ~、なんていい香り」
人間二人はその香りを胸いっぱいに吸い込みます。それは、沖縄の本格的な冬の到来を知らせる香りでもあるのです。

最後に、完成したムーチーを四頭それぞれの年齢の数ずつ結んで家の中にさげると、昔からの行事の魔力が香りとともにそこにはあるような気がして、願いが叶うように思えてくるから不思議です。

そして、さげたムーチーにクンクンと興味をしめし始めた息子たちを眺めながら、
「今年も一年、この子たちが健康で過ごせますように」と、自然に手を合わせるのです。

ライター
大城くいじなう