わたしの祖母は、平和通り商店街で小さな飲食店を営んでいた。店内はオレンジ色の温かい照明に、ふかふかなソファ、大きなレコードプレイヤーから流れる音楽が心地良いお店だった。
あの頃は、週末に祖母のお店へ遊びに行くことが楽しみの一つで、「よーい、ドン!」の合図で鬼ごっこが始まり、姉と妹と商店街を駆け回わった。
祖母が忙しくしている間は、3件先の美容室のみっちゃん(祖母の古くからの友人)が私たちの喋り相手になってくれ、しばらくすると迎えに来てくれる祖母に、「あんたたち、またみっちゃんの仕事の邪魔してからに。」とよく言われたが、私たちを家族のように温かく見守ってくれたご近所さん達がいるこの場所が大好きだった。
そんな祖母は、よく自宅へお土産を持って帰ってきていた。それは、市場で買ったお菓子や果物たち。
その中でも一軍と言っていいほどテーブルに並んでいたのは、青切りシークヮーサーだった。
手のひらに収まるほど小さなシークヮーサーの、皮から漂う香りで酸っぱさが伺える。そんなシークヮーサーを、祖母が美味しそうに何個も頬張る表情は、甘い蜂蜜を食べているようなとろける顔だった。
その顔に釣られて、私も一つ食べてみるけれど、口に入れたとたんに喉の奥に唾液が押し寄せるような酸っぱさに、何度も顔を窄めた。
「ねぇ、この果物(シークヮーサー)なんでこんなに甘くないの?」と尋ねると、
「私はこの酸っぱさが好きさー。ほら、美味しいよ。」と、シークヮーサーを一つ渡される。
「だから、酸っぱいから食べれないって言ってるさ〜!」と返し、最後は必ず祖母と顔を合わせて笑いあう。
そんなやりとりが気に入ったのか、それとも自分の好きな味を私にも好きになってもらいたいとおもったのか、祖母は連日シークヮーサーを片手に自宅へ帰ってきたのだった。
ずいぶん経った後に、青切りシークヮーサーは料理の薬味としても使われていることを知るが、私にとっては祖母が甘い表情を浮かべて頬張る果物のイメージが強い。そして今年も青切りシークヮーサーが市場やスーパーに並ぶようになると、あの祖母の笑みを浮かべて、一番青いシークヮーサーをついつい手に取ってしまう。
首里石鹸 伊波みか
≪シークヮーサーのひとくち解説≫
沖縄県北部地方で栽培が盛んなシークヮーサー。見た目はスダチのような小ぶりの青緑の果実で、熟すと黄色になります。“庭に植えると代々栄える”とも言われ縁起の良い果樹とも知られています。
実はシークヮーサーは沖縄の方言名。
“シー”は酸っぱい、“クヮーサー”は食わせるものという意味。刺身の醤油や焼き魚にかけたり、絞ってジュースにしたりと様々な食べ方があり、沖縄では昔から馴染みのある果実です。また、シークヮーサーには肌の保湿力を高めると言われている「ノビレチン」という成分が豊富に含まれており、美容としても注目されている果物です!
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