「今年のお盆は何日になっているねぇ~?」
毎年夏休みが始まるころに交わされるこの会話。
暮らしに旧暦が根付いている沖縄では、お盆も旧暦で行われるので毎年日付が変わるからだ。沖縄の暮らしの中でも重要な行事である「旧盆」。
しめった夏の空気に漂う線香の香り。
家族(目に見えない家族も含め)の集いでは、耳に馴染んだウチナーグチが飛び交う。意味が理解できないことも多いが、その響きはいつも温かい。
みんなでクワッチー(ご馳走)を食べ、夜は近所で繰り広げられる勇敢なエイサーを見に行ったり、花火をしたり。
幼いころは、ぐそー(あの世)からご先祖様が家に帰ってくるから、ご馳走準備してパーティーして過ごすんだよーと聞き、なんだか幽霊が家に来る感じがして怖かったことを覚えている。
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大人となったいまでは、
「天国のおじぃやおばぁが帰って来てるよ~。」
「おじぃは闘鶏(タウチー)が好きで、毎年孫たちをヒヨコ選びに連れていきよったよね~。」
「おばぁは、あの時代の人にしては背が高かくて外人モデルみたいだったよ~。」
と親戚みんなでおじぃおばぁの話をするのも、私自身がこの瞬間、子供時代に戻れるような気がして懐かしさに包まれ心地がよい。
そして今、隣に座る息子は幼いころの私同様、
「ねぇねぇやにぃにぃと遊べる!」
「花火ができる!やったぁ~」
と風習の豊かさなど感じることなく、無邪気にはしゃぐ。
*お盆の最終日であるお見送り(ウークイ)の日は、夜遅くから花火の音でご先祖様を送りだしはじめ、フィナーレとして玄関前に集まりウチカビというあの世のお札を燃やし、ご先祖様にあの世のお小遣いを渡す流れがある。(家庭により多少異なる)
それでいいのだ。
一緒に同じ空気過ごし、何かを感じ取る。
そして少し時が経ったころ、我が子にもまた”懐かしさに包まれる心地よさ”を味わってもらいたいと思うのだった。
首里石鹸 大城なつき