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首里散歩vol.151 おすすめの観光スポット2022年10月3日

沖縄に移住して10年ちかく経ったというと、観光雑誌に載っていないようなローカルスポットをおすすめしてくれそう、と期待されがちだ。

だから私が真剣に考えて「私は結局ここが好き」というスポットを口にするといつも残念そうにされてしまう。私のいちばん好きなスポットは、移住したてのころからずっと「国際通り」なのである。もはや沖縄に来たことがない人でも知ってるくらいベタなスポットだ。

たしかに10年近く住んでおいてド定番かい!となる人の気持ちはよくわかる。逆の立場ならとてもがっかりするだろう。だけど私は結局、海よりも山よりも、栄町よりも屋富祖よりも、国際通りが好きなのだから仕方がない。

国際通りを薦めるたびに「めっちゃ観光客向けじゃん」と言われるけれど、私が国際通りが好きな理由はまさに「観光客向けだから」なのだと思う。自分が観光客のころは盛り気味なほどに沖縄感を演出してくれるところが好きだったし、観光客じゃなくなってからも、いまだに三線の音色がどこからともなく聞こえることにウキウキする。日曜日の歩行者天国を狙って無計画に歩くのも好きだ。

表通りだけでなく、中に入っていくとまたおもしろい。地元民が集う赤ちょうちんの居酒屋がひしめきあうスポットもあれば、洗練された商品が並ぶセレクトショップもある。こんなところに!という場所にある占いがすごく当たったり、住宅街の中にぽつりとある珈琲屋の一杯が驚くほどおいしかったり、路地を歩いているとサプライズみたいに壁にアートが描かれていたり。

遊びとビジネス、観光客と地元民向けのお店が点在しつつ、ハッキリわかれていたりグラデーションになっていたり、なんとも不思議なバランスで共存しているのがとても好きで、いつまでも飽きない。

そういえば最近「いつか行こう」と思っていたお店の場所がわからなくなってしまった。国際通り近くだったことはたしかで、どこだったっけと随分探して歩いたけれど、やはり見つからなかった。「国際通り」という大まかなスポットは定番だけれど、その中身は日々変化し続けている。あの店もあの店も、ずっとあるとは限らないけれど、国際通りはずっとある。その新しさとすこしのさみしさも、国際通りに足が向いてしまう理由のひとつなのかもしれない。

首里石鹸
ライター 三好優実

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