沖縄は、日差しが力を取り戻し、すっかり小春日和が続いています。
先日、市役所までの道のりを運転していて、
裏通りの木々のざわめきや、ところどころで睨みを利かせているシーサーや、
石造りの古い住宅の軒先で、風に揺れる花を見て、
自然に笑みが溢れている自分に気付きました。
「この街並みが好きだなぁ」と感慨に耽りながら、何が心を動かすのだろう。。。と、
速度を緩めて、ゆっくりと進みます。
私の住む地域では、急激に開発が進んでいますが、
いまだに人通りの少ない道では、信号がない交差点も残っていて、
便利ですが、都会すぎない、バランスの取れた場所です。
そこで、はたと気がついたのです。
そういえば…私の大好きな景色といえば、お墓だということを。
琉球墓は、家、そして古い石造りの村のように見えるようなものもあり、
片道20分くらいの市役所までも、20基以上は通るのではないかと思うくらい、
本当に生活のすぐ近くに存在しています。
大きな琉球墓が、住宅地や南国の植物の合間合間に見える景色は、
まるで、自然の博物館に生きているような、充実した時間をくれています。
そこで、なかなか外出する機会も少ないので、
一人で、近くの気になる茂みのお墓まで歩いてみました。
調べてみると、見慣れたその丘陵地一帶を『真志喜グスクヌハナ遺跡』というそうで、
なんと、貝塚時代後期の土器や貝塚、魚骨など、他にも鳩目銭、ガラス製臼玉、瓶子、
そして石器まで出土した場所だというのです!
知らないというのは、とてももったいないことです。
アパートや駐車場の横に広がる遺跡…
大好きな景色に引き寄せられる理由が、わかった気がしました。
真志喜グスクヌハナ遺跡の古墓は、戦時中に防空壕として使用された場所も多いそうです。
人々を戦火から隔てる壁ともなった場所。
とても一人で足を踏み入れることはできませんでしたが、
裏側に中学校が建設されても、なお残るこの一帯は、
古代からの人々の想いが詰まった場所だとわかり、
これからも、感謝をしながら、見守っていきたいと思います。
ライター
首里石鹸 白鳥恵子