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首里散歩 Vol.381 道しるべを探して

ここは、灯台が望める自然豊かな残波岬公園。

ドライブに退屈していた子供たちは、広大な芝生めがけて、笑顔いっぱいにかけ出した。

もう、夏の終わり。
まだまだ陽射しは眩しいけれど、吹く海風はとても心地よくてー

「10数えるから逃げてよー!せーの!10.9.8⋯」

残波大獅子のそばに大きな木陰を見つけ、涼みながらおにごっこが始まったー。

「まだ遊びたい!」と遊具のある公園へむかった子供たちを主人にお願いして、どうしても立ち寄りたいと思っていた場所へ、ひとり歩き始める。


思いのほか遠く感じ、目的地かどうかは分からなかったが、海が見えるけもの道を見つけた。

ふと後ろを振り向くと、こちらへ近づいてくる長男が見えた。

「ここだよー!『ハブに注意』って書いてあるから気をつけて!」と大きく手を振った。

ようやく見つけた、宇座海岸の石切場跡。
明治〜大正時代に最も栄えた産業の遺跡で、幾何学模様が美しい石切場跡である。

この様子は、満潮時は水没していて、干潮時にしか見られないそう。
運良く見渡すことができ、何だか縁起が良い。

「お母さんは、どうしてここに来たかったの?」と長男が尋ねた。

以前、「首里石鹸」のコラムを拝見して、いつか訪れてみたいと思ったことがきっかけだが…

近頃、将来への期待や不安を打ち明けるようになった長男に、私が大切にしている言葉を通して答えることにした。

「お母さんが中学生の時、教わったことわざがあってね。そのことわざの意味を知ってから、興味を持ったことは、自分の目で見て確かめたいと思うようになったんだよ。何かに迷った時の道しるべのように、大切にしている言葉なんだ。」

その時、長男が何を思ったかは分からなかったが、足もとの遺跡を眺め、軽く頷いていた。

「さぁ、帰ろうか。」

明日は、沖縄旅行の最終日。

だから今日は、なるべく海沿いの道をドライブする。
海風をまといながら、青い海と太陽が傾いていく空模様を、目に焼きつける。

ホテルへ戻る途中、伊江島へ沈む美しい夕日を見つけ、心奪われて長男と見入っていた。

長男は伸びる影を見つめ、

「僕にはまだ見つかってないけれど、『これだ!』って思える大切な言葉に出会えたら、お母さんに教えるね!」と言った。

夕焼け色に染まる水平線が、彼の背中を優しく包み込んでくれるよう。

「ありがとう。楽しみにしてるね。」

きっと大丈夫。
夜は明けて、朝は来るように。
君の未来は、希望に満ち溢れているからー。

ライター
YUKAHA

※宇座海岸の石切場跡は、「SuiLife Vol.292 海辺の景色を楽しみながら(https://suisavon.jp/blog/20437/)」でご紹介しています。ぜひ合わせてご一読ください。