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首里散歩 Vol.371 キジムナーに「ありがとう」

去年からすっかり意気投合している友達と、お気に入りの場所に訪れる「大人の遠足」は、日々の楽しみとなっている。

お互い沖縄が大好きな移住者で、安心して素の自分を出せて、好きなだけ沖縄の自然を吸い込むことができて、とても心地よい。

お勧めの砂浜に連れて行くと、

「生まれてから見た、一番きれいな海だと思う!」なんて言うけれど、

岡山の山に囲まれて育ったという友達は、木々のあるところで

「やっぱりこういう山が落ち着く」と、自分に言い聞かせるようにつぶやく。


ある日、レトロな雰囲気のカフェに誘ってくれた帰りに、初めて立ち寄った公園を歩いていると、木漏れ日の手前に、成長と共に歩みを進める気根(空中を漂うように伸びる根)が、さざ波のように揺らいでいた。

その「ガジュマル」の腕の中に歩み寄り、それぞれ、そのさざ波の中の落ち着く場所に佇んで、しばらく時間を過ごした。

「ありがとう」

ガジュマルの木に宿るとされているキジムナーに、そう伝えているような時間だった。


ウチナーグチで、”夕日”のことを「イリフィ(入り日)」や「イリティーダ(入る太陽)」、さらに、日が沈んだ後に、空が段々と暗くなっていく様子を「アコークロー(明るい暗い)」と表現するという。

私は、この太陽が沈んだ後の、時には大胆に絵の具を混ぜ合わせたような、時には緩やかな霧のかかったような、アコークローの余韻が大好きで、暗くなってもなお、太陽の力を感じ続ける限り、見届けることがある。

今度は、友達とお互いの息子達も一緒にアコークローを見届けて、この時間帯に出没するというキジムナーに「ありがとう」を伝えたい。

ライター
首里石鹸 白鳥恵子