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首里散歩 Vol.330 いちゃりばちょーでー

この言葉は、私にとって心のお守りだ。

沖縄へ行くまでは、まったく知らなかった。
沖縄に住んでいた頃、耳にはしていたけれど、まだピンとこなかった。

でも、沖縄を離れると決まった時。
友人と、その妹さんが、そっと手渡してくれた島ぞうりに、この言葉が刻まれていた。

「いちゃりばーちょーでー」
(一度会えば、皆きょうだいだよ)

思い出があふれる。

子どもたちの幼稚園のお迎え後、毎日のように遊んだ園庭。

海の見える小高い丘の公園。
思いつきで車を走らせて向かった、青い海。

海外のかわいいおもちゃや洋服が並ぶフリマショップを教えてもらったこと。
一緒に食べたA&Wのハンバーガー、ブルーシールのアイスクリーム。

お家に行ったり、来てもらったり、
子どもたちの成長をあれこれ語りながら、ただただケタケタと笑った日々。

時には、悩みを相談し、そっと寄り添ってくれた。

どれもこれもが愛おしくて、
離れるのが、ものすごく寂しかった。

でも——
「いちゃりばーちょーでー」

なんて、心強い言葉。

この一言に込められた友人の気持ちが、
嬉しくて、嬉しくて。
思い出とともに、涙があふれた。
人目なんて気にせず、ただただ泣いた。

置いて行かねばならない、優しい人。優しい日々。

今を生きていると、
気持ちが沈むこともあるし、
突然、哀しさや虚しさに襲われることもある。
誰にも言えず、ただただ踏ん張るしかない時もある。

そんな時、
必ずこの言葉が、私をそっと支えてくれる。
そして、そっと背中を押してくれる。

「いちゃりばーちょーでー」

心に、きょうだいがいる。
あの日々がよみがえる。
たしかに過ごした時間が、遠くからのエールが、
力を湧き立たせ、私を前へと向かわせてくれる。

大切な言葉が刻まれた島ぞうりは、
毎日、「行ってきます」と「ただいま」を交わす場所に置いてある。

感謝してます!ありがとう!大好き!!!

この想いが届きますように——。

ライター
パッチンくるり