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首里散歩 Vol.320 共鳴と目覚め

子どもの健康を祈願する「ムーチービーサ」の日が今年は1月7日だった。(一年で最も寒くなる時期。この頃の寒さのことを沖縄の言葉でムーチービーサと呼ぶ)

暦通り、その当日からガクッと寒くなり、一週間ほど最低気温が10〜13度くらいの乾燥した寒い日が続いた。

今年は、秋の訪れも遅かっただけに、急な寒さに身体が慣れていない。

うちでは、猫たちが猫温度計のように、露骨に太陽や暖房の当たるポジションに居座るようになった。

やっとムーチービーサも少し和らいだ頃、今年初の授業参観があった。

授業で、日が出入りする方角の話が出て、日の出が見られるのは、車で20分強の山の向こう側の東海岸の地域という説明があり、中城で日の出を見ながら釣りをした日の記憶が浮かぶ。

また、東海岸の山に沈む夕陽も見事で、息子のビーチサッカーで毎週のように訪れる砂浜や、父のお墓からの海景色を、いつも母と感動しながら楽しんでいることが浮かんだ。

そして今度は、夕陽が沈む方角。
「夕陽が沈むのは、、、そこ、ですよね。」と、近くのトロピカルビーチの方向を指さす。

子ども達が一様に頷いて納得しているのを見て、私もそのざわめきに共鳴し、まぶたに焼きついている海に沈む夕陽や水平線を思い浮かべながら、しばし佇んでいた。

先ほどの授業が終わり、教室移動をしていると、小学校での読み聞かせボランティア仲間のおばぁが、子ども達に囲まれていた。

よく見ると、一人はうちの息子で、おばぁの話を聞いてはふむふむと頷き、神妙な面持ちでお礼を言って去って行った。

少し間をおいて、おばぁにご挨拶をすると、
「家庭科で、家の環境についての授業をやっていたので、とても大切な話だということを話していたんですけどね〜。」と。

おばぁの、ところどころにウチナーグチを交え、問いかけながら語られる日々の教えに、背筋を正される思いでいると、「おばぁのゆんたく(おしゃべり)につきあわせてしまって申し訳ないですね〜」と、いつもの照れ隠しにほっこりとした気持ちに包まれた。

さっきの子ども達も、同じような気持ちに包まれたのではないかな。

朝から立ちっぱなしだったけれど、学校からの帰り道、歩幅が急に大きくなる。

今朝感じた少しの寒さも感じず、逆に帰る頃には少し暑さも感じて、眠っていた自分が久しぶりに目覚めたような気持ちになった。

ライター
首里石鹸 白鳥恵子