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首里散歩 Vol.319 色褪せないようにと

ほんのり色づきはじめる木々を見つけ、ようやく秋の訪れを予感した三連休のある日。

今日は雲一つない晴天に恵まれた。

今年の夏、沖縄で全島エイサーまつりを観てからというもの、「またエイサーを観たい!」と強く思うようになった。

だからと言って、いつでも沖縄に行けるわけでもないし…身近な場所で沖縄のイベントでもないかな?とネットで探して見つけては、地元で開催される沖縄フェスへ訪れている。

以前訪れた沖縄フェスで、シーサーカステラ屋のご主人が「今度、また祭りがあるから良かったら!」と私に1枚のチラシを下さった。

「これは行かなくては…!」と私は心弾ませ、予定を空けておくことにしていた。

「ママ、エイサー観に行きたいなぁー。」
「美味しい沖縄そばも食べに行きたいなぁー。」
「乗ったことない電車にも乗れちゃうよ?」と、のりもの好きな子どもたちを巧みに誘い、フェスが開催される公園へ、いざ出発!

電車にゆらーり揺られ、次の電車へと乗り継ぐ。

会場に近づくにつれて、ヤンバルクイナやゴーヤーのイラストが描かれたエコバッグを手にした人々が段々と増えていく。

沖縄で立ち寄ったお土産屋を思い出し、彩り豊かで賑やかな国際通りのよう。

イベント会場に着く前からお祭りムードを感じ、心が躍る。

いよいよ到着すると、木陰のあちらこちらにシートが敷かれ、沖縄そばやスパム串を家族でシェアする人、泡盛片手にゆんたくする人の姿が目にとまり、とっても賑やか!

手探りにメイン会場付近へと進むと、沢山の屋台をはじめ、ステージ周辺には多くの人が集まり、沖縄の音楽を楽しむスタンバイをしていた。

迷子にならないようにと子どもたちの手をしっかり握り、混雑している会場を散策していると、エイサーの太鼓の音が聞こえてきた。

唄と三線の音色に加えて、心に響く太鼓の音と、ダイナミックで躍動感ある動き、そしてどこからともなく指笛が大空へと鳴り響く。

「あー、これこれ!この音♫」

あの日の思い出が一気によみがえり、自然と笑顔がほころぶ。

立ち竦んで眺めていると、近くに座っていた初老のご夫婦が、「せっかくだから、ここ座って!」とブルーシートの半分を譲って下さった。ご夫婦のご厚意に少し緊張しながらも、時折談笑しながらエイサーを眺めていた。

一緒に温かい三枚肉そばもいただき、「あー、これこれ!この味♫」と思い出の味を懐かしむ。

エイサーが奏でる音色にのせて、ご夫婦の思いやりで心が満たされ、心地の良い時間を過ごす。

その時、子供たちが「このシート、沖縄の海の色だねー!」とブルーシートの上で楽しそうに泳ぐまねっこをしていた。

私はふと空を見上げ、あの日見た沖縄の空と海を思い浮かべ、

「そっか。私は大切な思い出を振り返りにここへ来たんだな。」と、遠い沖縄へ思いを馳せ、気持ちがスッと晴れやかになった。

(家族旅行で訪れた沖縄のビーチで)

時は流れて季節は移り変わるけれど、大切な思い出はいつまでも色褪せないように。

来年もここへ来よう。

次はブルーシートとお気に入りのエコバッグを忘れずに。

ライター
YUKAHA