生まれも育ちも大阪の私。
沖縄に住んでいた頃に迎えた12月。
「冬」といっても、体感的にはポカポカした「秋」のようで、コスモスが元気に咲いていた。
月末、公民館で「そば打ち教室」に参加。
そこで気づいた。
(あっ、そうか。蕎麦じゃなくて、沖縄そばなのか)
子どもたちの「やりたい!」に、惜しみなく応えてくれる大人たち。ここでは「我が子」だけでなく、「子ども」という存在全体を見守る温かな眼差しがたくさんあった。
そんな温かな“そば”は、身体に染み入るし、なんともおいしかった。
おいしかったなぁ、本当に。
大晦日。
まさか半袖で過ごせるなんて、思いもしなかった。夜も薄手のパーカー1枚で十分。厚手の上着やダウンジャケットは、タンスケースの中で冬眠していた。
近くの衣料品売り場では、肩身が狭そうに厚手の上着が売られていたけれど、しばらくすると値札が半額以下になり、いつの間にかフェードアウトしていた。
「誰が買うのだろう?」
そんな疑問も、近所のおばさんのひと言で解決。
「関東に行くから上着を買ったよー」
そうか、沖縄の人たちにとっても「冬」は寒いものなのだ。
厚手の上着が売られる理由にも納得した。
そういえば、小学生の頃、
真冬でも年中、半袖半ズボンの同級生がいた。
雪が降りそうな寒さでも彼は変わらない。猛者だった。
みんなから英雄のように一目置かれていたけれど、本人は日常を通常運転で過ごし、何食わぬ顔をしていた。
自分の「当たり前」と、それぞれの「当たり前」。
・・・
日が暮れていく。
あれっ?
静かだ……なんて穏やかな夜なんだろう。
年が明ける前後は、いつも街がなんだかソワソワしていて、それが当たり前だと思っていたけれど、ここでは違った。
近所のお寺の除夜の鐘は聞こえず、氏神さまに初詣へ行く人の足音も特にない。むしろ、旧正月の方が賑やかだった気がする。
とても静かな大晦日。
私の知らなかった感覚がインプットされた。
・・・
これは、とある村のとある年越し。
ここ数年、時代も、自分自身も、いろいろなことが目まぐるしく変わった。
でも、変わらない人たちが、年を重ねながら穏やかにそこにいる。
そんな風景を願いながら思い出す。
・・・
町に出れば、大きな大きなシーサー。
ガツンと感じた。
やっぱり、お正月だったんだな、と。
ライター
パッチンくるり