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首里散歩 Vol.311 知っている、知らない花

あの花の名は、何だったんだろか?
これは 時々よぎる疑問なのだが、5年以上経つ今もまだ答えはでていない。

この時代、スマホで調べればすぐに答えがでてきそうだが、あえてしないのは、それはすでに名前を「知っている」からだ。
??どういう事??と思われるだろう。

「知っている」というのも、さかのぼれば、沖縄に少し住んでいた頃、息子のお友達に教えてもらっていたからだ。
その名も「パッチンくるり」

初めて出会った「パッチンくるり」は、植木鉢にも、花壇にも自ら咲いてはいなかった。側溝や、マンホールのわずかなスキマ、ずらりと並ぶ鉢の裏側から 静かに確実に前へ、上へと伸びていた。そのような、たくましい植物は、沖縄では数々あったように思うのだが、

その花には、「知らない世界へ飛び立つ力」があったのだ。

「一緒にしよう〜」と当時、幼稚園児だったその子たちに誘われその花の実?を摘んだ。
指の爪ほどの大きさで、大小あり、新緑色がプックリとみずみずしい。
いったい何をするのか、そんな事は考える間もなく、その後は一瞬の出来事だった。

ぷっくりした部分に少し負荷をかけて、つまむと、たちまちそり返り、裏表が入れ替わり、小さな種たちが、
「今こそ!!」と、飛びだしたのだった!!
なんとまぁー!!つまんだ時の感触や姿が楽しいこと!不思議なこと!

パッチン したら くるりする
「パッチンくるり」

何ともドンピシャなネーミング。
一生懸命に探す子どもたちが、何ともキラキラと愛くるしかった。

それから本土に戻ってからも、車道の花壇や通りすがりの家の前で「似た花」をみては、ふと思う。

(あぁ、また会いたいな。)

ライター
パッチンくるり

≪ひとくち解説(編集部)≫

パッチンくるりの正体は、おそらく「ほうせんか」。沖縄では「てぃんさぐ」とよばれています。
その花のことを歌った「てぃんさぐの花」は、どこの誰がつくった歌なのか不明ですが、沖縄県民に一番愛される歌として知られています。

【歌詞(うちなーぐち)】
てぃんさぐぬ花や 爪先(ちみさち)に染(す)みてぃ
親(うや)ぬゆしぐとぅや 肝(ちむ)に染みり

【歌詞の意味】
ホウセンカの花は 爪先に染めて
親の教えは 心に染めよう