先日、目まぐるしい日程の中で、姉と妹に頼みごとをした。
海外と東京と沖縄で離れていても、毎日メッセージのやり取りで盛り上がっている三姉妹。
距離を感じない連帯感があるけれど、深く説明もせずに声をかけたら、私より忙しいはずの二人が、10分も経たないうちに快諾してくれて、あまりの速さに笑ってしまった。
しかも「今でも大丈夫よ!」「ちょうどいいタイミングだった!」と、向こうから駆け寄ってくるような絶賛フォローの姿勢に、これまた笑ってしまった。
頼みごとは、息子からの、親子の時間についてのインタビューだった。
既に、他の方にもお話を聞いていたので、息子も、馴染みのおば達からは、「補足でヒントがもらえればいいな」くらいの気持ちだったのではないかと思う。
ところが、練習して板についてきた、かしこまった挨拶と質問は、思いの外、いい感じに姉や妹それぞれの想いを引き出していった。
ゆっくりと優しい口調で、自分の子どもはもちろんのこと、小さい頃から知っている息子と私のことも思い浮かべながら話してくれたのかな?
「意識しないと親子の時間は持てない」
「親子の時間には限りがある」
「親子で一緒に何かに挑戦したり、工夫したり、新しく体験しながら、記憶に残る会話を重ねたい」
「それが独り立ちした後の力になる」
なかなか課題のイメージが浮かばなくて、日ごとに活力が失われていた息子の表情に、何度もフワッと熱がこもり、用意していた相槌は消えて、「そういう会話ってすごく大事だよね、自分のことも考えられるし、今の生活を見直すことにもなる!」と心から芽吹いた言葉をはっきり伝えるのを、横から見ていた。
頭の中で、よく見ている景色のレイヤーが次々と切り替わって。
この10年で、子どもが成長するにつれて、徐々に深くなってきた会話の数々。
両親との時間を大切にしながら過ごすこの沖縄で、親子で、三姉妹で、従兄弟同士で、重ねてきた会話の記憶が満ちてゆく。
姉と妹が、息子にその想いを伝えてくれて、息子もそれに共鳴する。
これもまた記憶に残る会話になる、と胸がいっぱいになった。
ライター
首里石鹸 白鳥恵子