先日、那覇にあるホテル アンテルーム 那覇で開催された書評展に行った。
書評展なるイベントに行くのははじめてで、しかも場所はアートホテル。文章とアートという掛け合わせが想像できず、どういう感覚になるのだろうとわくわくしながら会場へ向かった。
書評の選書基準は「自分を変えた一冊」。
展示スペースには、大きな紙に印刷された書評と、紹介された本が一定の間隔をあけて並んでいる。沖縄で活躍する方、総勢11名による書き下ろしラブレターだ。
壁に貼り付けられた文字をまじまじと読む。贅沢な時間だなと思い、これはれっきとしたアートだなと思った。読むというよりも、”見て”いたからだ。
文字数や文体の指定がなかったのだろう。展示されるひとつひとつの書評は、短くて余白の多いものもあれば、びっしりと文字で埋めつくされたものもあり、カジュアルな文体もあれば、丁寧な文体もあった。
白紙に黒字のシンプルな1枚に、書いた人の想いが、思い出が、読んだ時の心の震えがおさめられている。静かに想像を掻き立ててくる佇まいに、しばし見入ったのだった。
わたしは1冊の本を購入して、ホテルを後にした。
『沖縄。人、海、多面体のストーリー』というその本は、数名の作家さんによるアンソロジーで、沖縄にまつわる10編の文章がまとめられている。
1編1編、ちがった沖縄を感じられるこの本を、すこしずつゆっくりと読み進めている。そこに綴られるキラキラもワイワイもしていない沖縄の魅力に、今あらためて心を奪われているところ。
ライター
三好優実