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首里散歩 Vol.286 エイサーの魔法

夏の終わりを感じる夜の空気の中、地元の青年団が主催の、エイサーの演舞祭が開催された。

今年は旧盆のエイサーも見られなかったので、ちょっと覗いてみるつもりで、習い事の帰りに立ち寄ってみると、いつもの地元のお祭りよりも、さらにアットホームな雰囲気で、大人も子どもも、みんなでエイサー演舞を楽しんでいる空間が、なんとも心地よかった。

団体によって個性があって、チョンダラーという、顔を白塗りにしたエイサーの盛り上げ役が大勢出てくる団体は圧巻だった。

チョンダラーがエイサーの、一番のヒーローという立ち位置も素敵でたまらない。

酔っ払って対応に困る親戚のおじさんのような振る舞いのチョンダラーが、次々とみんなに絡んでは、盛り上げていく。

その場にいる人がみんなリズムに揺り動かされて、お酒を飲んでいなくても、エイサーの魔法にかかったみたいな、不思議な夢見心地になっていく。

「あ〜!踊りたくなる!」とジタバタしている息子。

2歳の石垣島旅行の時からエイサーに魅せられて、幼稚園や小6の運動会で披露した演舞を、誇らしい思い出として記憶しているのが伝わってくる。

私も手の動きを一緒に真似したり、「イーヤーサーサー」と聞こえれば「ハーイヤ」と、エイサーの掛け声(フェーシという)を呟いたり、自然とエイサーの波に、心と身体が乗っかってしまう。

ふと、数日前に、大好きな浜比嘉島の波間で、ガーラと小さな魚たちが、行ったり来たりしながらざわめいていた様子を思い出した。人の気配のない、駐車場の奥の砂浜で、魚たちが、その場の環境を思いっきり楽しんでいるような感じで、うねりを起こしていたのだ。

島の魅力の内側を、そっと覗き込んだような気持ちになったが、まさにあの躍動感と似ているなと思った。

まだまだ日中の暑さは厳しいけれど、週明けの日常も、心に残っているリズムに乗って、心地よく楽しめたらいいな。今もまだ太鼓の音が響いて、揺り動かされている。

ライター
首里石鹸 白鳥恵子