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首里散歩 Vol.280 旅路に見た神秘

空と海の境目がわからなくなっていた。

上から紺、白、青のグラデーションで構成された神秘的な世界が広がる。

飛行機からの景色の話である。

人生初の飛行機搭乗を経験する私は、チェックインでもたつき、手荷物検査でカゴを使って鞄の中身を確認することも知らず、一緒に飛び立つ同僚達に助けてもらいながら何とか乗り込んだ。

離陸では高まる緊張と、想像以上に速い滑走と大きなエンジン音にびっくりして隣の同僚の手を握り笑われていたが、飛行機が飛び立ってからは初めて見る景色に興奮してずっと窓の外を見つめている。

飛行機の翼と空と海、陸の周りにだけ広がるエメラルドグリーン。

これでもかと写真を撮っては窓に張り付く私。

2回ほどおでこをぶつけた。

上空にある霧のような雲。飛行機より下にある綿飴のような雲は地上にある影も一緒に見えた。いつも地上から見ていた雲にこんなに高さがあるなんて知らなかった。何かの彫刻みたいだ。

近くからだと長く尾を引いて見える船も空からだとあまりに小さい。色が少し違っている海面は何だろう。

あの曲線の川はきっと自然に出来たものなんだろうな、あの広い場所はゴルフ場かな?

昂る気持ちとともに何だか現実味がなく、この小窓を液晶画面に見立てて映像を見ているかのようだった。

実はというと準備に手間取って前日は、というか当日は深夜まで起きていた。

空港に向かうまでの電車の中でもずっと舟を漕ぎ、これは飛行機に乗ってからも睡魔に襲われるだろう、と思っていたのだが、予想に反してずっと景色を見続けていた。



着陸準備に入り徐々に高度が降りてくると、海面が煌めくのが見えた。飛行機の影も少し映っている。

さっきまで見下ろしていた綿飴のような雲は、いつの間にか見上げる高さになっていた。

見えてきた、沖縄。また写真を撮っては窓に張り付く。

着陸滑走でまた同僚の手を握り細い声を漏らして、私の飛行機デビューは終了した。

約2時間。

ずっと左側を向いて少し痛くなった首と肩を労るように大きく腕を伸ばしながら胸を躍らせる。

こんにちは。そして、はじめまして、沖縄。

首里石鹸 星見せいか

☆星見さんの首里散歩「第1話」はこちら