首里の香り Vol.25 優しさは強さ | ブログ SuiSavon -首里石鹸-

伊江島の「ゆり祭り」は、毎年4月の末～5月初め頃に開催されており、青い空と海を背景に咲く白百合が観れる、とても綺麗なお祭りだ。

小さい頃は毎年家族で来ていたと話す友人とあれこれ話しながらフェリーに乗り込み島を目指す。到着後、フェリーターミナルで自転車をレンタルしたら、はやる気持ちと共に漕ぎだした。

照りつける日差しの中ようやくたどり着いた会場は、友人の話していた以上にたくさんの百合の花が咲いており、思わず「すごーい！」と声が出る。一通り写真を撮った後は、木陰に座って目の前の風景や子どもたちがはしゃぐ姿を眺めたりする。皆が思い思いに過ごす会場には、甘い香りも相まって、なんだか心落ち着くゆったりとした空気が流れていた。

太陽の下で元気にはしゃぐ子どもたちの様子を眺めていると、1人の女の子が転んでしまい、その拍子に百合の花を何本か折ってしまった。

慌てて母親と会場の人が駆けつけて、怪我がないかを確認する。

お母さんに𠮟られ、一緒に謝る女の子が泣きそうになっていると、駆け付けた係りの方が、「怪我がなくて良かったさぁ。きっとお花たちも一緒に遊びたかったから足を引っかけたんだはずね(笑)。次はひっかけられないように遊んでね～」と返しており、その温かな言葉にさらに目の前の景色が輝いてみえた。

帰り道、水分補給しようと立ち寄った小さなパーラーでは、「今日も暑いね～。これ（飴）とこれ（冷えピタ）あげるから、あともう少し頑張ってね～」と、笑顔のおばぁが送り出してくれた。

帰りのフェリーに乗り込み、少しずつ離れていく島を眺めながら、今日出会った人々と綺麗な風景を思いだしていると、ふいに「優しさは強さ」という言葉が浮かび、それが妙に心にすとんとはまった。凛と咲く白百合と柔らかな甘い香り。相反するようでぴったりなその花と、人々に惹かれ、きっとまた訪れるのだろう。

いつかまた訪れたあの島で、次はどんな気持ちであの風景を眺めるのだろうか。今から楽しみでしかたない。

首里石鹸　中里ゆきこ