沖縄では、旧暦の12月8日に『ムーチー』という月桃の葉に包んだお餅を食べる風習があって、それが今年は、1月18日だった。
「ムーチーの前後にグッと急に冷え込むよ〜」と言い伝えを聞いて何年も過ごしてきたので、スーパーで餅粉やムーチーが並ぶと、「そろそろ来るかも」と身が引き締まる。
だけど珍しく、18日は朝から頭上に雲一つない空だった。朝から歩いて出かけると空気の爽やかさで、とても気持ちよかった。
涼しい風に「一枚多く着てくればよかったかな?」と思ったけれど、陽の当たる歩道を選んで歩くと、ジワジワ・・・ジリジリ・・・段々と増す暖かさ。
いつもより薄着なのに、それがちょうどよくて、気持ちも心地よくおさまった!
今年は、「ムーチ-ビーサ」(ムーチーの前後に冷え込むこと)は来るのかしら?
空を見上げながら、吸い込まれるようにそんなことを考えていたら、少し首が痛くなった。
そういえば最近、外でぽかっと一人の時間ができて、なんだか何もなくても楽しくて、いつまででもいられるなぁと嬉しくなった。
人の手があまり入っていない自然を受け止めて眺めていると、私も景色の一部になったように、鳥も猫もいつも通りの動きで、気に留めずに近寄ってくる。
近くにいた釣り人が、「猫、好きなの?」と話しかけてきた。
なんの共通項もないけれど、釣りの魅力や、今日の川のコンディションや、「釣りやったらいいのに」と、よく釣れる時期や魚の種類などを、親切に教えてくれる。
浮き釣り待ちで、ゆったりと構えているその方も、景色の一部のような気がしてきて、暮れゆく陽を心で感じながら、深呼吸をたくさんして、緩やかな時間を楽しんだ。
一日にありがとうの気持ちを持って、暮れていく空を眺める。
暗がりの中で、来た時の何十倍もリフレッシュした私を見て、釣りから戻ってきた息子達が少し驚いていた。
あれからしばらく、心で感じたいくつもの景色が、ずっと元気をくれている。
ライター
首里石鹸 白鳥恵子