2024年、沖縄に帰ってきて数日後のこと。
インスタグラムを見ていたら、ひとつの投稿が目に入った。それは、ひとつのお店の閉店について。
ここに初めて訪れたのはいつだったかな。
波照間で出会って、仲良くしていただいている友人に連れて行って貰った。
紹介制で看板の無いお店。
お店で集合だったのだけど分からない入口。
暗闇にろうそくと僅かな灯りだけの空間。
一斉スタートだけど友人から「少し遅れます」の連絡に恐縮しまくっていたこと。
最初のスープで胃袋を掴まれ、トマトのカプレーゼで鷲掴みされてたこと。
そして帰る頃には完全に虜になっていたこと。
塩とオリーブオイルのみで味付けし、素材の魅力を引き出したイタリアン。
トマトは食べる日を逆算させて追熟。
その日に来る人たちのために何日もかけて作られる料理たちは、僕はもちろん、連れて行った方の心も鷲掴みしていた。
ここでいただいたのは、「何処にもない食事の瞬間」だった。
なので、僕にとってここは「この人と一緒に行きたい」という相手が浮かばないと行かない場所。
たいせつな人であり、食とお酒が好き、そしてその雰囲気を味わえる人。
そうじゃないと自分が楽しめないので、一緒に行く相手を選ぶ。
そしてふと「行きたい」と思っても、直ぐには行けない。予約で埋まっているし、それよりもシェフが「その日のお客さん」のために何日もかけて作ってくれる料理たちだから。
だから、予約して数ヶ月待ってありつける。
シェフ曰く「使いづらい無愛想な店」。
だけど(私を含む)ファンにとっては「料理とお客さんと真摯に向き合ってくれている最高のお店」。
空間、世界観、料理を含めてとてもたいせつな場所。
「家族と過ごす時間が欲しい」
これが10年の節目でシェフがしたいこと。
そして考え抜いた結論での閉店。
それを見た僕は、とても素敵な決断だと思った。
そして彼はこう綴っていた。
「決して火が消えたわけではありません。」
お店の閉店よりも、彼の世界観で演出される「次の構想」が楽しみでしかたない。
未来に出会う、彼との新しい「何処にもない食事の瞬間」をワクワクしながら待つことにしようと思う。
首里石鹸ライター
須藤 大治郎